ビールの作り方①

~麦汁完成まで~

それでは、ビールの作り方を見ていきましょう!!

まずは、ビールの原料のご紹介
1.水
2.麦芽(大麦を発芽させ、乾燥したもの)
3.ホップ
4.酵母
これらがあればビールは作れます。

実った大麦
大麦:実るほど首を垂れる麦穂かな
たわわに実ったハラタウ産ホップ
ホップ:多年生のつる草でビールに苦みと香りを付けるために使用する。
防腐剤としての役割もあり、日本では東北地方以北で主に栽培される。
顕微鏡で拡大した酵母:菌の一種。糖分を分解し、アルコールと二酸化炭素を作る。

では醸造工程を見ていきましょう。

上記、ざっくりとした醸造工程です。
では、一つずつの工程を解説していきます。

粉砕した麦芽をお湯に入れて麦芽でお粥を作っていきます

①麦芽粉砕
発芽した大麦を粉々に砕き、表面積を多くすることで麦芽に含まれる糖分(以下、エキス)をお湯に溶けやすくする工程です。粉砕された麦芽は大きく3つに分けられます。
1.もみがら(外の皮の部分)
2.胚芽(芽が出る部分)
3.エキス

※大麦ではなく、発芽させた麦芽を乾燥させたものを使用する理由は様々ありますが、その一つに『保存性を高める』ことがあります。
大麦の水分量は13%ほど、麦芽は4%ほどなので水分が少なくなり、長期間の保存が出来るようになります。水分が多いと害虫や微生物が寄ってきて腐りやすくなるからなんですね。

粉砕麦芽の大きさ別仕分けしたもの
粉砕した麦芽を大きさ別に分けたもの

②麦芽でお粥を作る工程(以下、麦汁)
麦芽には多くのデンプンが含まれます。デンプンとは、糖分がとてもたくさんつながったもののことです。このデンプンを小さく分解するのがこの麦汁作成で最も大切なのですが、そこで重要なのが酵素(こうそ)。大きいものを小さく分解して酵母にとって食べやすい大きさにする事です。

ス....スイカ大きすぎて一口で食べられない........
スイカは大きいので人は一口で食べられません。
ビール醸造における酵素の役割
スイカ一玉=デンプン、包丁=酵素、一切れのスイカ=ブドウ糖、人=酵母

デンプンを一番小さいモノに分解するとブドウ糖になり、それが2つ連なると麦芽糖、3つ連なるとマルトトリオース(マルト:麦芽、トリ:3、オース:糖)となります。

麦汁を作る工程で最も大切なのが、酵素を働かせる事。酵素とは大きいデンプン(お米や麦芽に含まれる)やタンパク質(お肉やお魚などに含まれる)をより小さいものに分解してくれるものでそれぞれアミラーゼ・プロテアーゼと呼ばれます。
この酵素は人間の唾液にも含まれるものなんですよ。
人間も咀嚼(そしゃく:よく噛んで食べる事)することで酵素が働いてより小さい物質に分解され、消化吸収しやすくするんですね。酵素も同じです。

ここで作られたブドウ糖・麦芽糖・マルトトリオースが後の工程の発酵で使われます。
この麦汁を作成できたかどうかの判断をするため、最後にヨウ素液を使い、デンプン反応がないかを調べます。
ヨウ素液はデンプンがあると反応して赤紫色に変色しますが、デンプンがないと色の変化が起きません。

このヨウ素液の反応が起きるのは最も小さいブドウ糖が10個以上連なった時に色の変化が起きます。
つまり、完成した麦汁には10個以上のブドウ糖の連なりがない麦汁という事ですね。

麦汁作成時の温度帯の一例。各酵素には働きやすい温度帯があるのでその保持時間を長くして酵素の分解を促進させる工程

以上が麦汁作成工程です。
もし、なにか分からないことがあれば、自分で調べるかお父さん、お母さんに聞いてくださいね。私にメールしてくれてもかまいません。
続きの工程はこちら!ビールの作り方②